ジブリ映画『風立ちぬ』のあらすじをご紹介していきますよ。
宮崎駿監督が実在の航空技術者・堀越二郎の生涯をモデルに描いた、戦前から戦中の日本を舞台にした感動の大作です。
この映画は戦争という時代背景の中で夢を追い続ける青年の物語で、切ない恋愛と人生の葛藤を繊細に描いた作品として話題になりました。
月に20本の映画を鑑賞する私が、ネタバレなしで感想もお伝えしながら、この名作の魅力をお届けしますね。
結末まで知りたくない方も安心して読めるよう配慮しているので、ぜひ最後までご覧ください。
『風立ちぬ』のあらすじを簡単に(ネタバレなし)
『風立ちぬ』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
物語は少年時代の堀越二郎から始まる。
飛行機への憧れを抱く彼は、夢の中でイタリアの航空技術者カプローニ伯爵と出会い、「飛行機を作る人になりなさい」と励まされる。
この出会いが二郎の人生を決定づけることになった。
東京帝国大学で航空工学を学ぶ二郎は、関東大震災に遭遇する。
汽車内で出会った少女・里見菜穂子とその侍女を助け、菜穂子の怪我の手当てをしてあげることに。
大学卒業後、二郎は三菱重工に就職し、飛行機設計士としてのキャリアをスタートさせる。
しかし初期の設計した戦闘機「隼」の試験飛行は失敗に終わり、深い挫折を味わうことになる。
その後、避暑地のホテルで偶然にも菜穂子と再会を果たす。
成長した彼女の美しさと知性に魅かれた二郎は、菜穂子の父親にも気に入られ、やがて婚約することになった。
しかし菜穂子は結核を患っており、当時不治の病とされていたこの病気が二人の未来に大きな影を落とす。
二郎は飛行機設計への情熱を燃やし続け、後に零戦として知られる戦闘機の開発にも携わることになる。
仕事に打ち込む一方で、病気に苦しむ菜穂子への愛情も深まっていく。
戦争の足音が次第に大きくなる中、二郎は技術者としての使命と愛する人との時間、そして時代の流れという大きな力の間で葛藤し続けるのだった。
『風立ちぬ』を観た感想
最初に観たときは「これまでのジブリ作品とは全然違うな」というのが第一印象でした。
子供向けのファンタジーではなく、完全に大人向けの作品として作られているんですね。
宮崎監督が描く戦前・戦中の日本の風景は本当に美しくて、特に飛行機が空を飛ぶシーンの映像美には思わず息をのみました。
風の表現や雲の描写など、細部まで丁寧に作り込まれていて、さすが宮崎駿監督だと感嘆しましたよ。
主人公の二郎を演じた庵野秀明さんの声も、最初は「えっ、大丈夫なの?」と思ったんですが、観ているうちに二郎の飾らない人柄がよく表現されていると感じるようになりました。
プロの声優さんとは違う素朴さが、かえってキャラクターにリアリティを与えているんですね。
菜穂子との恋愛描写については、もう本当に切なくて泣けました。
結核という病気を抱えながらも、二郎への愛を貫く菜穂子の強さと美しさに心を打たれます。
二人が出会うシーンから始まって、再会、婚約、そして病気の進行と、丁寧に関係性が描かれているので感情移入せずにはいられません。
ただ、この映画で一番考えさせられたのは、戦争と技術者の関係についてです。
二郎は純粋に「美しい飛行機を作りたい」という夢を追っているんですが、その飛行機が戦争で使われることになる。
技術者の創造への情熱と、その技術が軍事利用される現実の矛盾を描いているんですよね。
これは現代の技術者にも通じる普遍的なテーマだと思います。
映画のペースはゆったりしていて、アクションシーンがバンバンあるような作品ではありません。
だから「エンタメ性をガンガン求める人」には物足りないかもしれませんね。
でも、人生の深いテーマについてじっくりと考えながら観る映画としては、本当に素晴らしい作品だと思います。
久石譲さんの音楽も最高ですし、荒井由実さんの「ひこうき雲」が流れるシーンでは涙腺が完全に崩壊しました。
この映画は観る人の年齢や人生経験によって受け取り方が変わる作品だと感じます。
私も40代になって観ると、20代の頃とはまた違った感動がありましたよ。
『風立ちぬ』の評価
評価項目 | 点数 |
---|---|
ストーリー | ★★★★☆☆☆☆☆☆(4点) |
感動度 | ★★★★★★★☆☆☆(7点) |
エンタメ性 | ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点) |
総合評価 | 55点 |
『風立ちぬ』の作品情報
項目 | 内容 |
---|---|
公開年月日 | 2013年7月20日 |
監督 | 宮崎駿 |
脚本 | 宮崎駿 |
原作 | 宮崎駿(漫画『風立ちぬ』連載 堀辰雄の小説『風立ちぬ』に着想 |
キャスト |
|
上映時間 | 約126分 |
受賞・ノミネート歴 | ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品 トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門出品 アジア太平洋映画賞ノミネート |
製作国 | 日本 |
主題歌 | 荒井由実「ひこうき雲」 |
ジャンル | アニメーション、ドラマ、伝記 |
配給 | 東宝 |
視聴方法 | Blu-ray/DVD |
あの作品が好きなら『風立ちぬ』も好きかも?似ている映画3選
『風立ちぬ』のような戦争の時代背景で人間の愛と夢を描いた作品をお探しの方に、おすすめの映画を3つご紹介しますね。
どれも心に響く名作ばかりです。
『コクリコ坂から』宮崎吾朗監督
1963年の横浜を舞台に、高校生たちの青春と恋愛を描いたジブリ作品です。
戦後復興期の日本という時代背景の中で、若者たちが懸命に生きる姿を温かく描いています。
『風立ちぬ』と同様に、歴史的な背景と個人の感情を丁寧に織り交ぜた作品で、家族の絆や恋愛の描写が心に残りますよ。

『この世界の片隅に』片渕須直監督
戦時下の広島を舞台に、一人の女性の日常生活を通して戦争の現実を描いた感動作です。
戦争という大きな時代の流れの中で、普通の人々がどのように生きていたかを繊細に表現しています。
『風立ちぬ』と同じく、戦争を背景にした人間ドラマで、愛する人との別れや人生の選択について深く考えさせられる作品ですね。
『言の葉の庭』新海誠監督
雨の日の公園で出会った年上の女性と高校生の心の交流を描いた新海誠監督作品です。
『風立ちぬ』と同じ2013年に公開された作品で、切ない恋愛と美しい映像表現が共通しています。
登場人物の繊細な心情描写や、夢と現実の狭間での葛藤というテーマが『風立ちぬ』と似ていて、大人の恋愛を描いた作品として楽しめるでしょう。

振り返り
今回は宮崎駿監督の『風立ちぬ』について、あらすじから感想まで詳しくお伝えしました。
この作品は従来のジブリ作品とは一線を画す、大人向けの深いテーマを扱った名作です。
戦争という時代背景の中で、夢を追い続ける技術者の人生と切ない恋愛を丁寧に描いた物語は、観る人の心に長く残ることでしょう。
映像美と音楽の素晴らしさ、そして人生について考えさせられるストーリーは、一度は観る価値のある作品だと思います。
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