映画『国宝』のあらすじを詳しく解説していきますよ。
この作品は2025年6月に公開された李相日監督による壮大な人間ドラマで、吉田修一さんの同名小説が原作となっています。
第78回カンヌ国際映画祭の監督週間部門で上映され、大きな反響を呼んだ注目作でもあるんです。
私は年間200本以上の映画を観る映画オタクですが、この『国宝』は間違いなく今年を代表する力作だと断言できます。
これから観る方のために、ネタバレなしで簡単に、そして詳しくあらすじをご紹介していきますね。
感想や評価もたっぷりお伝えするので、映画選びの参考にしていただければと思います。
映画『国宝』のあらすじを簡単に(ネタバレなし)
映画『国宝』のあらすじを詳しく(ネタバレなし)
1964年の長崎、任侠一家の少年・喜久雄は父親である組長・権五郎に憧れを抱いていた。しかし、歌舞伎の余興を披露する最中に抗争で父を失ってしまう。天涯孤独となった喜久雄は、上方歌舞伎の名門・花井家の当主である半二郎に才能を見出され、部屋子として歌舞伎界へ足を踏み入れる。
半二郎の息子・俊介と兄弟のように育った喜久雄は、親友でありながらライバルとして互いに高め合い、名女方への道を歩み始める。二人は舞台で成功を重ね、次第に注目される新星となっていく。しかし、半二郎が事故で倒れた際、代役に喜久雄が抜擢されたことで俊介との関係に亀裂が生じてしまう。
その後、喜久雄は歌舞伎界のスターとして名声を集めていくが、順風満帆とはいかない。恋人・春江の裏切りや芸者・藤駒との複雑な関係、歌舞伎界からの一時追放など、様々な試練や孤独も味わうことになる。
喜久雄は自分だけの芸を極め、様々な人間関係や挫折を乗り越えながら、いかにして唯一無二の「国宝」への道を歩むのか。
一人の少年が50年の歳月をかけて「国宝」と称される歌舞伎役者へと成長する壮大な人間ドラマ。
『国宝』を観た私の感想
いやあ、これは本当にすごい映画でした!
3時間という長さにビビってたんですが、観始めたらあっという間でしたね。
まず何と言っても吉沢亮さんの演技が圧倒的でした。
幼少期から老年期まで、50年間の人生を一人で演じ切るんですが、その変化の表現力が半端ないんです。
特に歌舞伎の舞台シーンでは、本当に役者が憑依したかのような迫力で、思わず息を呑んでしまいました。
横浜流星さんも素晴らしかったですよ。
俊介という複雑な役どころを、嫉妬や葛藤、友情といった感情の機微まで丁寧に演じていて、観ていて心が痛くなるほどでした。
2人の関係性の変化が物語の軸になっているんですが、これがもう切ないのなんの。
幼い頃は本当の兄弟のように仲良くしていたのに、芸の世界の厳しさや運命に翻弄されて、どんどん複雑になっていくんです。
渡辺謙さんの花井半二郎も印象的でした。
歌舞伎界の重鎮としての威厳と、弟子への愛情を併せ持つ人物を、さすがの存在感で演じています。
田中泯さんの演技も忘れられません。
セリフは少ないんですが、その佇まいだけで物語に深みを与えているんです。
映像美についても語らずにはいられません。
歌舞伎の舞台シーンはもちろん、長崎の風景から大阪の町並みまで、どのシーンも美しくて見とれてしまいます。
特に歌舞伎の化粧や衣装の細部まで丁寧に描かれていて、伝統芸能への敬意を感じました。
音楽も素晴らしくて、King Gnuの井口理さんが歌う主題歌「Luminance」が物語の余韻を深めています。
透明感のある歌声が、喜久雄の心境と重なって、観終わった後もずっと頭に残るんです。
ただ、正直に言うと理解できなかった部分もありました。
原作が上下巻の長編小説ということで、3時間でも描ききれない部分があったのかもしれません。
一部のキャラクターの心情の変化が急に感じられたり、エピソードが駆け足になってしまった印象もありました。
でも、それを差し引いても、この映画が持つ圧倒的なスケール感と人間ドラマの深さは特別でした。
血筋や運命に翻弄されながらも、自分の芸を追求し続ける喜久雄の姿に、観ている私たちも勇気をもらえる作品だと思います。
映画を普段あまり観ない方でも、きっと最後まで引き込まれるはずです。
泣けるシーンも多いので、ハンカチ持参で観に行くことをおすすめします!
『国宝』の評価
評価項目 | 点数 |
---|---|
ストーリー | ★★★★★★★★☆☆(8点) |
感動度 | ★★★★★★★★★☆(9点) |
エンタメ性 | ★★★★★★★☆☆☆(7点) |
総合評価 | ★★★★★★★★☆☆(8点) |
『国宝』の作品情報
項目 | 詳細 |
---|---|
公開年月日 | 2025年6月6日 |
監督 | 李相日 |
脚本 | 奥寺佐渡子 |
原作 | 吉田修一『国宝』(朝日新聞出版刊) |
主演キャスト | 吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ 森七菜、渡辺謙ほか |
上映時間 | 175分(約3時間) |
受賞・ノミネート歴 | 第78回カンヌ国際映画祭「監督週間部門」公式上映 |
製作国 | 日本 |
主題歌 | 「Luminance」原摩利彦 feat. 井口理(King Gnu) |
ジャンル | 人間ドラマ、歌舞伎、芸能 |
配給 | 東宝 |
現在の視聴方法 | 全国劇場で上映中(TOHOシネマズ、イオンシネマ等) |
あの映画が好きなら『国宝』も好きかも?似ている映画3選
伝統芸能や芸術の世界を舞台にした感動作がお好きな方には、きっと『国宝』も気に入っていただけるはずです。
ここでは、テーマや設定が似ている素晴らしい作品を3つご紹介しますね。
『しゃべれども しゃべれども』(2007年・佐藤信介監督)
国分太一さん主演で、落語の世界を舞台にした心温まる作品です。
落語家を目指す人々の苦悩や再生を描く点が、歌舞伎界で成長する『国宝』の主人公と重なります。
伝統芸能への愛情と、その世界で生きることの厳しさを丁寧に描いた人間ドラマの傑作ですよ。
『火花』(2017年・板尾創路監督)
又吉直樹さんの芥川賞受賞作を映画化した作品で、菅田将暉さんが主演を務めています。
芸人として生きることの意味や、師弟関係、友情と葛藤を描く構成が『国宝』と非常に似ています。
芸への情熱と人生の葛藤、親友でありライバルとの複雑な関係性など、共通するテーマが多い作品です。
『蜜蜂と遠雷』(2019年・石川慶監督)
松岡茉優さんや松坂桃李さんが出演した、ピアノコンクールを舞台にした青春ドラマです。
血筋や環境に縛られず、自分の芸で勝負する若者たちの成長と苦悩を描く点が『国宝』と通じています。
芸術への情熱や美の追求、才能と努力というテーマが、歌舞伎界を描いた『国宝』と強く重なる作品ですね。
振り返り
映画『国宝』は、任侠一家出身の少年が歌舞伎界で”国宝”を目指す50年間を描いた、スケールの大きな人間ドラマでした。
吉沢亮さんと横浜流星さんの熱演、美しい映像美、そして伝統芸能への深い敬意が込められた素晴らしい作品です。
3時間という長さはありますが、その価値は十分にある映画だと思います。
歌舞伎に馴染みがない方でも、人間の成長や友情、芸術への情熱といった普遍的なテーマで楽しめるはずですよ。
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